極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「一度はさくらさんのことを諦めようと思いました。……ですが、それができなかった。結婚するならさくらさん以外の女性は、考えられないんです」

 包み隠さず話してくれた彼に、胸がいっぱいになる。零れ落ちた涙を拭き、お父さん、お母さんと向き合った。

「私も村瀬さんがうちの会社の副社長だと知って、釣り合わない、報われない恋だって思ってたの。でも知れば知るほど好きになって、諦めることなんてできなかった」

 両親にぶつけた本音に感極まり、せっかく拭った涙が再び零れ落ちた。だけど拭うことなく続ける。

「お父さんの言うことは、もっともだと思う。……もしかしたらこの先、つらい思いをするかもしれない。でも、村瀬さんのそばにいること以上の幸せなんてないの。それに村瀬さんは、どんなことにも一緒に乗り越えてくれる人だから」

 隣に座る彼を見れば、優しく微笑んだ。そしてふたりで再び両親に向き合う。

「僕も同じ気持ちです。さくらさんとともにたくさんのことを乗り越え、これから先の長い人生を過ごしていきたいと思っています。……なにがあっても幸せにします」

 そう言うと村瀬さんはテーブルから少し離れ、畳に頭がつくほど深々と頭を下げた。
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