極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「どうか娘さんを僕にください。……結婚をお許しいただけませんでしょうか？」

　好きな人が私と結婚したいと言ってくれた。こうして両親に頭を下げてくれた。……それがこんなにも嬉しいことだなんて……。

「お願いします」

　ワンテンポ遅れて私も村瀬さんとともに、深く頭を下げた。

　彼以外の人と結婚なんて考えられない。だからこそ、大好きな両親に祝福してほしい。
　その思いで頭を下げ続けていると、畳が擦れる音がした。

「ふつつかな娘ですが、どうぞよろしくお願いします」

　お父さんの声に彼とふたり顔を上げると、私たちと同じようにお父さんとお母さんが頭を下げていた。
　その姿を見た瞬間、とめどなく涙が溢れて止まらなくなる。

「ありがとうございます。……さくらさんとともに、おふたりのような温かく幸せな家庭を築いていきます」

　両親に向かって言ってくれた村瀬さんの言葉。そしてお父さんの目に光るものが見えて、涙を止める術を失ってしまった。

「あぁ、もうさくら。そんなに泣かないの」

　ティッシュを渡してくれたおばあちゃんも泣いている。村瀬さん以外泣いている状況に、私たちは声を上げて笑ってしまった。

「だけど本当によかったわね、さくら。あなた、本当に村瀬さんのことが大好きだったものね」

　突然そんなことを言い出したお母さんにギョッとなる。
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