極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「ありがとう」と言われ、ますます恥ずかしさが増す。顔が真っ赤であろう私を見て、両親とおばあちゃんは笑うばかり。

 賑やかな空気が流れる中、奥の部屋から物音が聞こえてきた。

「あら、楽しそうな笑い声を聞いて、おじいさんが目を覚ましたようだわ」

 ゆっくりと立ち上がったおばあちゃんが、居間の襖を開けるより先に開き、そこに立っていたのは、おじいちゃんだった。

 久しぶりに見るおじいちゃんは、思ったより元気そう。手術すると、よく足腰が弱ったりすると聞いていたけれど、それも大丈夫そうだ。

 しっかりとした足取りで居間に入ってくると、おじいちゃんは私を見て表情を緩めた。

「久しぶりだな、さくら。元気だったか?」

「うん。ごめんね、最近なかなか来られなくて……。おじいちゃん、元気そうでよかった」

 久しぶりの再会に嬉しくなり、立ち上がっておじいちゃんの元へ駆け寄る。

「さくらの晴れ姿に、曾孫を見るまでは死ねんからな。店にも改装後、立つつもりだ」

 得意げに言うおじいちゃんに、思わず笑ってしまった。するとおじいちゃんは村瀬さんに目を向けた。私も遅れて彼を見ると、慌てて立ち上がる。
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