極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 そう前置きして弥生さんが周囲を見回せば、みんななにか言いたげに目を細めたものだから、つい身構えてしまう。

「な、なんでしょうか?」

「ズバリさくらちゃん。あなた最近、男ができたわね?」

「……えっ!?」

 完全なるプライベートなことを聞かれ、一瞬フリーズしていると、弥生さんは弾む声で続けた。

「言わなくてもわかる! 肌つやがいいもの。それに最近ますます綺麗になったしね。いい恋愛をしているんでしょ? 懐かしいわねぇ、私にも燃えるような恋をして女に磨きをかけた頃があったのよ」

「いや、えっと……」

 ひとり盛り上がる弥生さんは、深いため息を漏らした。

「そんなに肌つやがいいってことは、相手はかなりのテクニシャンね。寝不足には見えないけれど……大丈夫? ちゃんと毎日寝かせてもらえているの?」

「なっ……! 弥生さん!?」

 下ネタ全開の質問に、かあっと顔が熱くなる。そんな私を見て弥生さんをはじめ、みんなが一斉に笑い出した。

 ムキになったことで、彼氏がいると認めたようなものだということに今さらながら気づいた。

 ものすごく恥ずかしい。こういう時、弥生さんたちは容赦なく追及してくるから、できるだけ秘密にしておこうと思っていたのに……。

 がっくり項垂れると、弥生さんは笑いをこらえながら言った。
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