極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

「アハハ、おもしろい人たちだな。うちの社員食堂の調理員さんは」

「昼休みとなるともっとすごいですよ？　大抵の社内事情は把握できちゃいます」

　この日の夜。帰宅して夕食の準備をしていると村瀬さんから連絡が入った。仕事が早く終わったから、会いに行ってもいいかと。もちろんふたつ返事で了承し、彼を招き入れた。

　余り物で作った料理で申し訳ないけれど、村瀬さんはおいしそうに完食してくれて、今は食後の珈琲を飲みながら他愛ない話をしていた。

　そこで一部を除いた弥生さんたちとのやり取りを話したら、村瀬さんはクスクスと笑う。

「たしかに最近のさくら、肌つやがいいかもね」

　そしてからかい口調で言うものだから、弥生さんに聞かれたことを思い出してしまった。

　本当に弥生さんってば、デリカシーというものがない。テクニシャンとか、寝かせてもらっているのかとか……！

　た、たしかに経験が少ない私でも村瀬さんは、その……そうなのかなって思うけど。

　そこまで考えてハッとなる。隣に村瀬さんがいるのに、なにを考えているのだろうかと。

　慌てて首を振ってカップに残っている珈琲を飲み干すと、横から感じる視線。その視線を辿ると、村瀬さんが食い入るように私を見ていた。