極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「あの、村瀬さん……?」

 耐え切れなくなって名前を呼ぶと、彼は楽しそうに頬を緩めた。

「いや、さくらって本当に表情豊かだなって思って。見ていて飽きないよ。……ちなみに今は、なにを考えて百面相してたの?」

「えっ! 百面相ですか?」

「あぁ、怒ったり赤くなったり、恥ずかしそうにしたり……。なにを思ってそうなったのか気になる」

 そう言うと村瀬さんは手にしていたカップをテーブルに置き、私の肩に両腕を回した。
 彼の整った顔が目の前に広がり、息を呑む。

 何度もキスを交わし身体を重ねても、いまだに甘い雰囲気に慣れない私の胸は早鐘を打ち続けている。

 それなのに見つめられると目を逸らすことができない。村瀬さんの瞳にドキドキしている自分が映り込んでいるのを眺めていると、彼は頬を摺り寄せた。

「もしかして、これから俺とすることを想像して百面相になったの?」

「……っ! ちがっ……」

 身体中の熱が一気に上昇し、声を荒らげてしまう。でも言葉が続かなくて、キュッと唇を噛みしめた。

 どうしよう、すごく恥ずかしい。もしかして引かれた?

 不安になっていると、村瀬さんは私の頬にそっとキスを落とした。そして私の顔を覗き込む。
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