極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「違うの? 俺は想像しているよ。……さくらには常に触れていたいんだけど、さくらは違う? 俺に触れられるの、嫌?」

 最近の村瀬さんは、なんだか意地悪だ。だって私の気持ち、絶対見透かされているよね? それなのに、わざと答えるのが恥ずかしいことを聞いてくるんだもの。

「……嫌なわけ、ないじゃないですか」

 彼のシャツの裾を掴み、必死に声を絞り出す。

「そうですよ、村瀬さんに触れられた時のことを考えていました」

 素直な思いを伝えると、村瀬さんは苦しげに顔を歪めた。

「キミは本当に……」

 ため息交じりに呟くと、早急に塞がれる唇。

「んっ」

 呼吸もうまくできないほど執拗に舌を絡め捕られ、自分のものとは思えない声が漏れるばかり。どれくらいの時間、口づけを交わしていただろうか。

 ゆっくりと唇が離れる頃には、お互いの息は上がっていた。

「さくら……」

 愛しそうに私の名前を呼ぶと、彼の手が頬に触れてくすぐったい。親指が下唇に触れ、再びキスが落とされる。

 すると村瀬さんは私の耳へ顔を寄せた。

「ベッドに行こうか」

 甘い囁きに応えるように彼にしがみつく。すると村瀬さんは軽々と私を抱き抱えた。
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