極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 それからは蕩けてしまいそうなほど甘い時間に酔いしれ、いつの間にか私は意識を手離していた。次目が覚めたのは、村瀬さんの話し声を聞いて。

「そうですか、それを聞けて安心しました。……はい、では予定通り来週に日本を発つ方向でお願いします」

 けだるさを感じながらも瞼を開けると、私に背を向けた状態でベッドに腰掛け、電話をしている村瀬さんが目に入った。

「お疲れ様です、また明日お願いします」

 電話を切った村瀬さんは、どこか安心した顔をしている。仕事の話だよね。さっき、来週に日本を発つって言っていたし。……もしかしてまた以前のような、長期に渡る出張なのだろうか。

 気になって「あの……」と声を上げると、村瀬さんはびっくりして身体を震わせた。

「悪い、起こしちゃって」

 スマホをベッドサイドに置いてベッドに入ると、いつものように優しく抱き寄せられた。

「さっきの電話……」

「うん、仕事のことでちょっと。……もしかして聞いてた? 来週に日本を発つって」

「……はい」

 正直に答えると村瀬さんは「そっか」と呟いて、よりいっそう私を抱きしめる腕の力を強めた。
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