極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 でもきっと、寂しいのは私だけではないよね? 村瀬さんも同じ気持ちのはず。だったら、私は笑顔で送り出すべき。

 彼に気づかれないように深く深呼吸をし、ゆっくりと離れる。そして私の様子を窺う彼に笑顔を向けた。

「気をつけて行ってきてください。……待ってます」

「さくら……」

 これから先、将来を誓い合ってからも村瀬さんは何ヵ月も家を空けることがあると思う。
 その時は笑顔で送り出したい。心配かけたくない。私のことは気にせず、仕事に集中してほしい。

 その思いで伝えると、彼は目を細めた。

「ありがとう。……今回、少しでもプロジェクトを進めて近いうちに一度、父さんに帰国してもらうのが一番の目的なんだ。両親に早くさくらのことを紹介したくて。……なんかカッコ悪いな、俺。早くさくらと結婚したくて必死になりすぎ」

「そんなっ……! カッコ悪くなんてありません。村瀬さんは世界一カッコいいです! それに私と早く結婚したいと思ってくれているの、すごく嬉しいです」

 バツが悪そうに頭を掻く姿を見たら、言わずにはいられなかった。

「私も早く村瀬さんと結婚したいと思っています。〝おはよう〟から〝おやすみ〟まで毎日言える未来が早くきてほしいです」
< 174 / 308 >

この作品をシェア

pagetop