極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「料理上手なところをアピールしなさい。よく昔から言うでしょ？　男心を掴むには、まずは胃袋を掴めって」

「いや、だからっていきなり……」

「それにさくらだって村瀬さんに、自分の手料理を食べてもらいたいでしょ？」

　間髪入れずに言われた言葉に心が揺れる。

　そりゃ好きな人に自分が作った料理を食べてもらえたら、嬉しいに決まっている。

　だけどこんないきなり……あまりに不自然だ。絶対村瀬さん、変に思っているよね？　さっきだってすごく戸惑っていたし。

「お母さんもお父さんも、さくらの恋を応援しているの。だって村瀬さん、素敵な人だもの。うまくいってくれたらいいな……っていつも話しているのよ」

「お母さん……」

　応援してくれるのはすごく嬉しい。でもそれはふたりが、村瀬さんのことを知らないからだ。

　私が勤める大企業の御曹司だと知ったら、きっと今みたいな言動に出ないはず。

　何度か話そうとしたけれど、こうして心から応援されちゃうとなかなか切り出すタイミングを掴めずにいた。
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