極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
早乙女さんがドアを閉めると専務は立ち上がり、私の様子を窺いながら近づいてきた。
「キミが猪狩さんか。……悪いね、突然お呼び立てして」
「いいえ」
表情はにこやかなのに、専務から感じる威圧感に圧倒されて言葉が続かない。私のすぐ後ろには早乙女さんがいるから、余計かも。
すると専務は私の前で足を止めると、スッと顔から笑みを消した。
「だけどわかっているだろう? どうして私に呼ばれたのか」
きっと……ううん、間違いなく村瀬さんのこと。
「……はい」
返事をすると専務は「それなら話が早い」と言って、クルリと背を向けた。
「誠司君から早乙女君との縁談を断られるとは、夢にも思わなくてね。会社のためにも、誠司君のためにもいい話だ。それに彼女は、まったくの他人というわけではなく誠司君の幼なじみだ。経営者になる身として、断る理由などないはずだった」
そう言うと専務は、机上にあった一枚の封筒を手に取る。
「誠司君は結婚したいと思う相手なのに、頑なに口を割らなくてね。悪いが独自に調べさせてもらった。……それで納得したよ。相手がキミだから口を割らなかったのだと」
封筒をグシャッと握りしめると、専務は私に鋭い目を向けた。
「キミが猪狩さんか。……悪いね、突然お呼び立てして」
「いいえ」
表情はにこやかなのに、専務から感じる威圧感に圧倒されて言葉が続かない。私のすぐ後ろには早乙女さんがいるから、余計かも。
すると専務は私の前で足を止めると、スッと顔から笑みを消した。
「だけどわかっているだろう? どうして私に呼ばれたのか」
きっと……ううん、間違いなく村瀬さんのこと。
「……はい」
返事をすると専務は「それなら話が早い」と言って、クルリと背を向けた。
「誠司君から早乙女君との縁談を断られるとは、夢にも思わなくてね。会社のためにも、誠司君のためにもいい話だ。それに彼女は、まったくの他人というわけではなく誠司君の幼なじみだ。経営者になる身として、断る理由などないはずだった」
そう言うと専務は、机上にあった一枚の封筒を手に取る。
「誠司君は結婚したいと思う相手なのに、頑なに口を割らなくてね。悪いが独自に調べさせてもらった。……それで納得したよ。相手がキミだから口を割らなかったのだと」
封筒をグシャッと握りしめると、専務は私に鋭い目を向けた。