極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 仕事だってそう。やっと管理栄養士として働く毎日に、充実感を覚えてきた。弥生さんたちとの関係も築けている。

 妊娠していたら今までのように働けなくなるよね。自分の代わりはいない。辞めるとしたら、誰か代わりの人を見つけてもらう必要がある。産休に入るにしても同じだ。どっちにしたって、みんなに迷惑をかけることになる。

 でも、本当に妊娠していたら……? 村瀬さんの子供がお腹の中にいるとわかったら、私はどんな気持ちになるのだろうか。

 答えの出ない問題をグルグル考えていると、待合室にアナウンスが流れた。

「猪狩さくらさん、診察室にお入りください」

 自分の名前が呼ばれ、ドキッとなる。

 診察に入れば妊娠しているかどうかわかるのかと思うと、心が落ち着かない。
 それでもどうにか立ち上がると、光美が心配そうに聞いてきた。

「さくら、一緒に話を聞こうか?」

 休みの日にわざわざ病院まで付き添ってくれたんだもの。さすがに診察室までは甘えられない。
 その思いで笑顔で伝えた。

「ううん、大丈夫。……行ってくるね」

「……うん、行ってらっしゃい」

 光美に見送られ、診察室へと向かった。

 ドアを数回ノックして室内に入ると、担当の女医の先生に「まずは、エコー検査をしましょう」と言われ、ベッドに横になる。
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