極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「嘘、本当に? やだ、どうしよう。おめでとう~」

 わっと泣き出した光美にギョッとなる。

「ちょ、ちょっと光美」

 一気に視線を集めてタジタジになってしまう。……でも、自分のことのように喜んでくれた光美に、私までもらい泣きしてしまった。

 微笑ましい眼差しを向けられながら呼ばれるのを待ち、会計を済ませて病院を後にすると、光美は感慨深そうに呟いた。

「さくらがママになるのかぁ」

 光美の言葉に駅まで向かう道中、無意識のうちに自分のお腹を撫でてしまう。それを見て彼女は「フフッ」と笑う。

「さくらってば、もうすっかりママの顔になってる。病院に来るまでは不安でいっぱいって感じだったのに。……やっぱり実際に妊娠しているって聞かされたら、不安なんてなくなった?」

「……うん」

 自分でも驚いている。あんなに妊娠していたらどうしようって、マイナスなことばかり考えていたのに……。

「正直ね、怖かったの。もし妊娠していたら、今までの生活が一変することになるでしょ? 会社のみんなにも迷惑をかけることになる。……でも先生に妊娠しているって言われて、エコー写真を見せられたら、自分でもわからないんだけど涙が出てきちゃって……」

 こうして話しているだけで感極まり、また泣きそうになる。それほど感動してしまったんだ。
< 197 / 308 >

この作品をシェア

pagetop