極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 大学で四年間、栄養学について学び、国家試験を経て管理栄養士となった私、猪狩(いがり)さくら。

 社名を口にすれば誰もが知っている大手家電メーカーの【株式会社ムラセ】に入社して、今年で二年目になる。

 今年で二十四歳になるというのに、高校生に間違えられるほど童顔。
 身長も百五十三センチと小さく、仕事柄、前髪も短いほうが楽で眉上に切り揃えているから余計に幼く見られがち。

 顔は至って普通。学生時代の成績も運動神経もとくに優れていたわけではなく……。これといったと特技もない。

 唯一自慢できるのは明るく前向きな性格と、両親が弁当屋を経営しているため、幼い頃から手伝いをしているうちに腕を上げることができた料理くらいかな?

 料理は昔から本当に好きで、この仕事の就くことができて幸せに思う。

 都内のオフィス街にある二十五階建ての本社ビル。その最上階が私の職場だ。

 全体的に明るくて開放的な造りの社員食堂は、カウンターキッチンとなっていて、調理員が実際に作っているところを見ることができる。

 カフェテリア方式なので、こちらからも料理の減りを確認することができ、すぐに補充できる利点があり助かっていた。
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