極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

　廃棄ロスの問題もあるし、私もまだ今の状況が続くようなら報告するつもりではいるけれど……。嫌がらせをする原因は、間違いなく私のせいだろう。

　上層部に報告をすれば、村瀬さんの耳にも入るかもしれない。理由を知ったら、彼はどう思うだろうか。

　早乙女さんは妹のような存在だと言っていた通り、村瀬さんは彼女を可愛がっているように思えた。

　その相手が、こんな子供じみた嫌がらせをしていたと知ったらどう思う？

　それに早乙女さんも、言われて仕方なく縁談を受け入れたわけではなく、村瀬さんのことを想っていたから政略結婚を受け入れたのかもしれない。

　そうだとしたら、私に嫌がらせをする理由にも納得がいく。

　色々なことを考えると、自分はどう判断して動くべきなのか……迷っていた。

　考えに更けていると、光美は繋いでいる手をギュッと握りしめた。

「無理だけはしないでね。人の命より大切なものなんて、なにもないから。それにこれまでの話を聞いていると、食堂のみんなはいい人ばかりそうだし……事情を説明すれば、わかってくれると思うよ」

　光美の言う通り、弥生さんたちなら「大丈夫だよ、気にせず休んで。無理はしちゃだめ」って言ってくれるだろう。
　迷惑をかけても、文句を言わない人たちだと思う。

　心配する光美を安心させるように、笑顔で伝えた。