極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「ありがとう。……でも大丈夫。幸いつわりはないし、赤ちゃんも順調だって聞いたから。無理せず、気をつけて仕事は続けるつもり。代わりの人が見つかるまで……ううん、せめて早乙女さんたちの問題が解決するまでは」

 クレームはすべて私に言われているけれど、弥生さんたちだって自分たちが作った料理をまずいと言われては、よく思っていないはず。

「頑張るよ」

「さくらがそう言うなら……。でも本当、無理だけはしないこと! 嫌なことがあったら、いつでも愚痴を聞くからね!」

「うん、ありがとう」

 こうして心配して、力になってくれる存在がいるから頑張れる。

 改めて感謝の思いを口にすると、光美はやっと表情を和らげた。

「親友なんだから当然でしょ? 私だけじゃない、会社の人たちも坂本もきっと商店街のみんなも、さくらの力になりたいと思っているよ。だからなにかあったら、周りを頼るんだよ? 甘えてもいいんだからね」

「……うん」

 私の返事を聞いて安心した光美は、思い出したように言う。

「坂本にも伝えないとね。この前、すごく心配していたから」

「そうだね」

 あの時は頭の中が真っ白で、心配する大にただ、『大丈夫』としか言えなかった。

 それからも、商店街を通って顔を合わせるたびに心配してくれたよね。だけど話が話だけに、体調が悪いだけだったと誤魔化していた。
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