極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「坂本のことだから、大号泣しちゃうんじゃない?」

 光美は笑いながら言うけれど、まさにその場面が想像できちゃう。大って意外と涙脆いところがあるから。
 近いうちに大にも報告しよう。

 帰り道。光美とイタリアンカフェに寄ってランチをしたら、話は尽きず別れたのは十六時前。

 今日から明日まで村瀬さんは、社長とともに休み。弟夫婦も呼んで家族でシンガポールを観光すると言っていた。そこで私のことを報告するとも。

 村瀬さんに妊娠の報告をするのは、その後がいいよね。母子手帳をもらってから言おうかな。

 その時のことを考えると自然と頬が緩みながら、家路に着いた。



 週明けの月曜日。新たな気持ちを胸に、忙しい一日が始まった。

「それでは今日も一日、よろしくお願いいたします」

 調理開始前にミーティングを行ない、それぞれの持ち場について調理に取りかかる。

 私もさっそく野菜の皮むきから始めようとしたけれど、ふと産婦人科医院の先生に言われた言葉を思い出す。

 仕事内容を話したら、長時間立ちっぱなしにならないよう、こまめに座ってやったほうがいいと言われたよね。

 皮むきの作業の時は、座ってやろう。

 近くにあった椅子を持ってきて腰掛け、野菜を手にした途端、弥生さんが駆け寄ってきた。
< 202 / 308 >

この作品をシェア

pagetop