極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 突然のお誘いにフリーズしていると、代わりに両親が興奮した様子で返事をした。

「それはもうぜひ!」

「すべて村瀬さんのご都合に合わせますので!!」

 勝手に返事をする両親に我に返る。

「ちょ、ちょっとお父さん、お母さん!」

 そんな前のめりで返事をしたら、私の気持ちが村瀬さんにバレてしまうのでは?

 不安になって必死に止めていると、村瀬さんは私の様子を窺う。

「ご両親はこう言ってくれているけど……さくらちゃんはどうかな? 俺と出かけるのは嫌かな?」

「っ……! 嫌じゃありません!」

 咄嗟に大きな声で言ったあとに気づく。ムキになっていたら、これじゃますます私の気持ちがバレたのでは? と。

 変な汗が流れそうになる中、村瀬さんは私の話を聞いて目を瞬かせた後、目尻にたくさん皺を作った。

「それはよかった。じゃあ約束」

 村瀬さんにそう言って、小指を立てた。

「えっ?」

 こ、これは指切りってやつですか? 村瀬さんと指切りって……! えっ、なにそれ! 小指だけとはいえ、好きな人に触れるんだもの。恥ずかしくて無理だよ。

 プチパニック状態に陥っていると、痺れを切らした彼は私の指に自分の指を絡ませた。
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