極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 泣いたって、彼に話すことを先延ばしにしたって、お腹の中に赤ちゃんがいることは変わらない事実。
 それなのに私、なにやっているんだろう。

 アパートまでの道中、つい目で追ってしまうのは小さな子供ばかり。

 昔から子供が好きで、お店に買いにきてくれた子と接するのが好きだった。みんな素直で可愛くて、見ているだけで癒されて……。自分の子供だったら、どれほど可愛いのだろうか。

 立ち止まり、お腹を撫でてしまう。

 村瀬さんの子供だもの、ものすごく可愛いよね。それに誰もが子供を授かれるわけではない。世の中には不妊に悩む人も大勢いる。
 その中で妊娠して子供を授かれた私は幸運だ。

 村瀬さんや周りの人がどう思うかわからない。不安もあるけれど、宿った命を守ってあげられるのは私だけ。

 だったら生む以外の選択肢などない。クヨクヨせずに前に進まないとだめじゃない。

 再び歩を進める。

 まずは今週末、電話をした際に村瀬さんに言おう。妊娠していることを。会えるのはまだまだ先。そんなに待ってなどいられない。その間もこの子は成長していくのだから。

 村瀬さんがどう思うかわからないけれど、私は生みたい。この子に会いたいもの。
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