極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 その後、会社にも報告をしないと。つわりは今のところないけれど、急にくるかもしれないと言われているし、そうなったらみんなに迷惑をかけることになる。

 両親にもだ。もし……もしもひとりで育てていくことになったら、頼らざるを得ない。

 これから忙しくなる。だからこそ今はたくさん食べて、元気を出さないとだよね。

 そう自分に言い聞かせて帰宅後、きれいに完食し、この日は早めに就寝した。



 次の日。いつものように出勤し、休憩後は事務作業に取りかかる。妊娠中に起こりえるリスクを聞いた。なにがあるかわからない、元気なうちに仕事を前倒しでやっておこうと思い、一ヶ月先のメニューまで考えたりしていたら、定時から一時間半が過ぎていた。

「嘘、もうこんな時間?」

 上からあまり残業するなと言われているのに。

 急いで片づけを済ませ、控室へと向かう。

 こんなに遅い時間まで会社にいるのは、初めてかもしれない。いつもは騒がしい廊下もほとんど社員が残っていないのか、シンとしている。

 着替えを済ませてロッカーを施錠し、控室を出る前にふとスマホを見ると、村瀬さんから二件の着信とメッセージが届いていた。
< 223 / 308 >

この作品をシェア

pagetop