極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「いいえ、山浦さんこそお疲れ様でした。こちらでの状況を逐一報告してもらい、急な仕事を送ってもらえたおかげで、向こうで日本での仕事と並行できましたよ」

「恐縮です」

 そんな言葉を交わしながら机上を見ると、書類の山ができていた。

「山浦さん、これは……?」

 顔を引きつらせながら聞くと、彼は淡々と言う。

「副社長にご確認いただきたい書面でございます。各部署からできるだけ早くお目通しいただきたいと承っておりますので、午前中はこちらの作業を優先させてください」

「そうですか……」

 いや、一ヵ月以上不在だったんだ。以前、中国に行っていた際も戻ってきた時にはこれ以上の種類の山ができていた。なんてことない。――と自分に言い聞かせても、何枚も書類に目を通していくとさすがに目が疲れてくる。

 その絶妙なタイミングで、山浦さんがコーヒーを淹れてくれた。

「お疲れ様です。少し休まれてください」

「すみません、ありがとうございます」

 さっそく淹れてもらったコーヒーを飲むと、山浦さんはしみじみと言う。

「お子さんがお生まれになったら、ますますお仕事に精を出されなくてはいけませんね」

「……そうですね」
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