極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 勝次叔父さんからしてみれば、俺が彩芽と一緒になることで彩芽の父親が経営する会社との、密な関係を築きたかったのかもしれない。

 父さんも最初はただの噂だと信じていなかったが、勝次叔父さんが俺に彩芽との縁談話を持ちかけたと知り、不審に思うようになったらしい。

 もちろん父さんが聞いても勝次叔父さんは口を割ることはなく、デマだと言い張っているとか。

 そこで同じ日本にいる俺に、内密に調べてほしいと言われたのだ。

「猪狩さんとの件は、専務には社長からご連絡がいく手筈になっているんですよね?」

「えぇ。今朝、俺を予定より早く帰国させたことも併せて連絡すると言っていました」

「そうですか」

 勝次叔父さんは、さくらとの結婚を快く思っていないはず。そうなると、そろそろ連絡が入る頃だと思うんだが……。

 するとタイミングよくなった内線。発信元は専務室だった。




「これを見たまえ」

 乱暴にテーブルに置かれたのは、数枚の写真と書類。手に取り見ると、さくらの調査報告書と、以前に一度会ったことがある幼なじみと、楽しそうに映るさくらの写真だった。
< 240 / 308 >

この作品をシェア

pagetop