極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「これはいったい?」

 抑えることができず不快感を募らせながら問うと、勝次叔父さんは怒りを露わにした。

「誠司君が相手を教えてくれなかったからね、悪いが独自に調べさせてもらったよ」

 内線で専務室に呼ばれた時点で、さくらに関してなにか言われるとは思っていたが……。

 調査報告書に書かれていたのは、ひどい内容だった。さくらのご両親が店を畳んだのは借金のせいだとか、さくらが俺に近づいたのは金目的だとか……。

 幼なじみに関しても長年に渡り、身体の関係が続いているなど事実無根なことばかり。

「どうして誠司君が、こんな娘にこだわるのか理解できないよ。誰に聞いたって早乙女君以上にお似合いの相手はいないだろう。……それに兄さんから今さっき聞いたよ。彼女、妊娠しているようだね。言いづらいが、騙されているんじゃないか? 子供の父親だって誠司君じゃない可能性もある」

「……っ! いい加減にしてください!」

 我慢できず立ち上がった。そんな俺を勝次叔父さんは驚いた顔で見る。

「ここに書かれていることは、すべて事実ではありません。それと彼女のお腹の中にいる子は、自分の子供です。……勝次叔父さんが、俺のことや会社のことを考えてくれているのはわかります。ですが自分の人生は自分で決めます」

 はっきりと伝えると、勝次叔父さんは顔をしかめた。
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