極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「どうしてあの子なの!? 悪いけど将来、社長夫人になる器に値する子とは思えない! だって結婚前に妊娠するなんて……。取引先の誠司君に対する印象だって悪くなるだけだよ?」

 これほど感情を露わにする彩芽を見るのは初めてで、驚きを隠せない。昔からおとなしく、俺のうしろに隠れているような子だったから。

「前に言ってたじゃない。将来は、会社のために結婚するって。それなのにっ……」

 今にも泣き出しそうな彩芽に戸惑う。彼女はただ、幼なじみとして言ってくれているんだよな? 兄のように慕っている俺を心配しているだけであって、決して俺に好意を抱いているからじゃないよな?

 不安が募り、安心したい一心で言った。

「たしかにそう思っていたよ。……でも、結婚したいと思える相手と出会ってしまったんだ。彩芽は幼なじみとして、応援してくれるよな?」

 そう、彼女に問う。しかし彩芽は頷くことなく顔を伏せた。

「悪いけど私は応援できない」

「――え」

 はっきりと告げると、彩芽は俺を見ることなく踵を返し、専務室へと入っていく。
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