極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 応援できないのは、なぜ? もしかして俺の勘違いではなかった? いや、一度もそういった素振りを見せたことなどなかった。それに好きだと言われたわけではないんだ。

 応援できないのは、さくらのことを知らないからだよな。そう自分に言い聞かせながら副社長室へと戻った。



「これはまた……ずいぶんとひどく書かれておりますね」

「えぇ。そこでお願いがあるのですが、勝次叔父さんが誰に調査を依頼したのか、調べてもらってもいいですか?」

「わかりました」

 持ってきた写真と調査報告書を山浦さんに預けた。

 しかしよくもあれだけ悪く書けたものだ。あらためて書かれていた内容を思い出すと、怒りを通り越して呆れる。

 途中になっていた書類に目を通そうとしたものの、ふと、彩芽に言われた言葉が頭をよぎった。

 そういえば、なぜ彩芽もさくらが妊娠していることを知っていたのだろうか。それにさくらのことをよく知っているような口ぶりだった。

 もしかして勝次叔父さんに聞いたのか? いや、勝次叔父さんもついさっき父さんからさくらの妊娠を聞いたと言っていた。その直後に俺を呼び出したんだろう。彩芽には話す暇など、なかったと思う。だったら、どうして知っていたんだ?
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