極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
　引っ越しをして初めて迎えた金曜日の夜。来週の火曜日にニューヨークに戻る光美と大の三人で、商店街の一角にある洋食店に来ていた。

　そこで初めて大にも、妊娠していることを報告したわけだけど……。

「商店街のみんなには、さくら自身で妊娠していることを報告したいに決まっているでしょ？　それなのに大きな声で言ったら誰かに聞かれて、あっという間に噂が広まっちゃうじゃない。ただでなくてもさくらは、先週から商店街を出て村瀬さんの家で暮らしているんだから」

「て、光美……！」

　まさに光美の言う通り、安定期に入ってから商店街のみんなにも報告に来るつもりでいた。それなのに……。

「なにー!?　さくらちゃん、妊娠しているんだって!?」

「本当かい!?」

　食事に来ていた商店街の住人にばっちり聞かれ、あっという間に囲まれてしまった。

「いや、その……」

　なんて言えばいいのやら。チラッと光美を見れば「ごめん！」と言いながら顔の前で手を合わせている。大はというと、「やっちまったな」と言いたそうに頭を抱えていた。

　そんな私たちを見れば一目瞭然。確信を得たみんなは「えらいこっちゃ」「これはめでたい！　みんなに知らせないと！」なんて言いながら、急いで食べて店を出ていった。

　これで明日には商店街中に広まるだろう。

　思わず頭を抱え込む。
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