極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「連休はなにして過ごそうか。どこか出かけるのもいいけど、なにかあったら大変だし、家でのんびり映画でも見ようか?」

「いいですね。実はシアタールームに見たい映画があって……」

「それはよかった。じゃあさくらが見たいものをたくさん見よう」

 肩を寄せ合い、他愛ない話をしながら隣を歩けることが幸せでたまらない。

 週末はお手伝いさんにも休暇を取ってもらい、広い家でふたりっきりの時間を過ごした。

 そして週明けの月曜日。一週間の始まりは自然とやる気が漲る。人事部に聞いたところ、管理栄養士の募集をかけたらすぐに何件か応募があったらしい。後任もすぐに決まりそうだ。

 今週末に、弥生さんたちに相手は伏せて妊娠していることを報告する予定。そしてギリギリまで働きたいということも。着実に彼との結婚、そして出産への準備を進めている。

 ミーティングを終え、それぞれの持ち場に立って調理に取りかかると、一時間もすれば厨房内はおいしそうな匂いで充満していく。

 そしてほとんどの料理を作り終え、店内に並べる作業に入る。すると弥生さんが思い出したように話し出した。

「そういえばあの子、ほら……なんて言ったっけ? 最近来なくなったけど、来るたびに大量に残していた子たちのボス!」

 弥生さんの話を聞き、ひとりが答えた。
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