極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「あんた、どういうつもりだい? ここは会社が運営する食堂だ、あんたの軽はずみな言動で、多くの社員がここを利用できなくなるかもしれないんだよ? 適当なことを言うのはやめてちょうだい!」

 弥生さん……。

 本当は私が言わなくてはいけないことを弥生さんに言わせてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

 それに知られてしまった。妊娠していることを。ちゃんと自分の口から伝えたかったのに、こんな形で知られてしまうなんて。

 罪悪感と後悔の気持ちでいっぱいになっていると、弥生さんに言われた早乙女さんは悔しそうに唇を噛みしめた。

「うるさい! 部外者は黙ってて!」

 弥生さんを一喝すると、早乙女さんは目に涙をいっぱい溜めて私に向かって声を荒らげた。

「あなたが現れなければ、誠司君と結婚するのは私だった! あなたが現れてから、私の人生は狂いまくりよ。誠司君を取られるし、仕事だってうまくいかない。本当、消えてよ! あなたなんていなくなればいい!!」

 彼女の瞳からは、ポロポロと涙が零れ落ちていく。その姿に胸が痛む。

 早乙女さんの言動は許せない。でも彼を想う気持ちだけは本物だってわかるから。
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