極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

「え……誠司君って副社長のことよね？　結婚ってどういうこと？」

　騒然となる周囲。そして混乱する弥生さんに「すみません、あとで説明します」と伝え、いまだに涙を拭うことなく私を睨む早乙女さんと向き合った。

「私は早乙女さんほどまだ村瀬さんのことを知りませんし、彼の立場もよく理解できていません。……きっと誰もが彼には私より、早乙女さんのほうがお似合いだと言うはずです。……でも、彼を想う気持ちだけは負けない自信があります」

「そんなの、私だって……！」

　どうにかわかってほしくて声を被せ、必死に言葉を並べた。

「本当ですか？　だったら、どうしてこんなことをするんですか？　私に話があるなら、人が大勢いるような場所ではなく、一対一ですればいいじゃないですか。彼にとってマイナスになるようなことをしているのは、早乙女さんのほうです。こんなことをしたって、村瀬さんが悲しむだけです」

　最初からこうやって、気持ちをぶつけてきてくれたらよかったのに。どうして周囲を巻き込もうとするの？　それは周りの人間だけじゃない、一番早乙女さん自身も傷つくことになるのに……。

　だけど私の気持ちは届かず、早乙女さんは目くじらを立てた。