極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

「彩芽の言う通り、俺にとってお前はこれから先もずっと妹のような存在だ。……彩芽のことを異性として見ることはできない」

　はっきりと告げると、やっと村瀬さんは顔を上げた。

「彩芽だけじゃない。俺はこの先、さくら以上に誰かを愛することなどできない。それほど強く彼女に惹かれているんだ。……今もずっと。だから彩芽の気持ちに応えることはできない。……ごめん」

　はっきりと告げた村瀬さんに、早乙女さんはなにも言わず、立ち去っていく。

　わかっている、どうしようもないことだって。私は村瀬さんのことが好き。彼もまた私を想ってくれている。それが、このやり場のない気持ちの答えなのだと。

　村瀬さんもまた同じ気持ちでいるのか、そっと私の頭を撫でた。

　だけど次の瞬間、傍観していた弥生さんをはじめ、食堂にいた社員に囲まれてしまった。

「さくらちゃん、どういうことなの!?　妊娠しているっていうこともそうだけど、相手が副社長って……！　本当なのかい!?」

「副社長、さっき言っていたことはすべて本当なんですか？」

　次々と同じような質問ばかり投げかけられ、アタフタする私とは違い、大勢の社員に向かって村瀬さんは堂々と言った。