極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「あ、帰ってきた。行こう、さくら」

 彼に手を引かれ玄関に向かうと、ふたりの姿がない。代わりに大量の荷物が置かれていた。

「どうしたんだ、これ」

 誠司さんとふたりで荷物の正体を探っていると、玄関のドアが開き、両手いっぱいに荷物を抱えたふたりが入ってきた。

「悪い、誠司。手伝ってくれ。車にまだ入っているんだ」

「まだって……どうしたんだよ、この大量の荷物は」

 靴を履きながら誠司さんが聞くと、お義母さんは私を見て「フフフ」と笑う。

「もちろんベビーグッズに決まってるでしょ? 向こうで可愛いのをたくさん見つけてね、お父さんとふたりで買い過ぎちゃって」

 え、ちょっと待って。この大量の荷物の正体はすべてベビーグッズなの!? しかもまだ車にあるだなんて……。

 誠司さんも手伝って、三人で降ろした荷物で玄関は埋まってしまった。

「片づけは後回しにして、休みましょうか。さくらちゃんともゆっくりお話がしたいし」

「そうだな」

「あ、ではお茶の準備をしますね」

 荷物運びができなかった分、お茶くらい用意しようと踵を返したけれど、すぐにふたりに止められてしまった。
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