極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 その後、四人で夕食を食べに出かけ、お義父さんとお義母さんは久しぶりの日本を満喫するべく、温泉街へと向かった。羽を伸ばして大分県の別府へ行くそうだ。

 帰宅後、順番にお風呂を済ませてベッドに入ると、誠司さんは「おいで」と言う。

 言われるがまま彼に近づくと、優しく抱きしめられた。

「今日は疲れただろ? お腹、張ったりしていないか?」

「はい、大丈夫です」

 誠司さんのぬくもりをもっと感じたくて、ギュッと彼にしがみついた。

「父さんたち、別府に向かう前にさくらが生まれ育って商店街に立ち寄るって言ってたよ」

「え……うちの商店街に?」

「あぁ。さくらが生まれ育ったところを見たいんだってさ」

 そんな話を聞かされて優しく背中を撫でられると、泣きそうになる。……本当、妊娠してから私、すごく涙脆くなった。昔はこんなに泣きたくなることなんてなかったのに……。

「それと食事の時も話したけどさ、今度の新製品発表会が終わったら、婚姻届を提出しに行こうな。……悪かったな、遅くなってしまって。今度の発表会が終わってすべて片づいてから、さくらと結婚したかったんだ」

「いいえ、大丈夫です」

 こうして誠司さんのそばにいられるんだもの。入籍がいつになっても構わない。
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