極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「結婚式は残念だけど、子供が生まれてからだな。俺としてはふたりっきりの結婚式でも十分だけど、立場上、披露宴を開かないわけにはいかないからな。落ち着いたら盛大にやろう」

「……はい」

 誠司さんは心底面倒そうに言うけれど、子供が生まれてからの披露宴も素敵だと思う。

「できるなら子供が物心ついてからやりたいですね。一生に一度の結婚式ですもん。子供にも覚えていてほしいです」

「……そうだな、それもいいな」

 彼の顔を覗き見ると、そう遠くない未来の三人での結婚式を想像しているのか楽しそう。

「男の子だったらタキシードを着せて、女の子だったらフリフリのドレスを着せよう」

「いいですね。でもそうしたら主役は完全に子供になっちゃいますね」

「だろうな」

 その様子も容易に想像することができて、クスクスと笑ってしまう。だけど少しすると、誠司さんから笑顔が消えた。

「あのさ、さくら」

「はい、なんでしょうか」

 返事をすると、誠司さんの大きな手がそっと私の頬に触れた。

「今度の新製品発表会、本当に悪いな。……付き合わせてしまい」

「え、全然ですよ? それにそこで私たちのことを発表してくれるんですよね? 嬉しいです、すごく。……粗相のないよう、しっかり着飾っていきますね!」
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