極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 お義父さんが発表会の場で私たちの結婚を、正式に公表したいと言ってくれた。

 少しでも誠司さんの隣にいても恥ずかしくないよう、見た目だけでも整えていかなければ。

 気合いを入れていると、誠司さんは真剣な瞳で私を見つめた。

「どんなことがあっても、さくらのことが絶対に俺が守るから。だから俺を信じてほしい」

「……? はい」

 結婚すると決めた日から、ずっと誠司さんを信じてきた。それなのに誠司さん、急にどうしたのだろうか。

 そういえば、新製品発表会に出席してほしいと言われた時のお義父さんとお義母さんの様子も、どこかおかしかったよね。

 私が困るようなことが新製品発表会で起こるのだろうか。……でも、なにが起ころうとも、私はただ、誠司さんを信じてついていくだけ。

 意思表示するように、私の頬に触れている彼の手に自分の手を重ねた。

「発表会に着ていく服、一緒に選んでくれませんか? ……できればバッグやアクセサリーまで一式」

 ボソッと付け足し言うと、村瀬さんは白い歯を覗かせた。

「もちろん。さくらに似合うものを選んでやる」

 そして再び抱きしめられ、幸せな気持ちで満たされながらこの日も眠りに就いた。
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