極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 ふたり態度を見ただけでわかる。これからなにを言われるのかが。

 だけどここで逃げるわけにはいかない。大丈夫、なにを言われたって平気。私には誠司さんがいるのだから。

 強い気持ちを胸に、誠司さんの隣に立った。それが意外だったのか、専務と早乙女社長は目を丸くさせる。

「お生憎ですが、話なら私にしていただけませんか? その話とやらは、彼女を傷つける内容ですよね? ……彼女ひとりの身体ではないんです。おふたりのせいで、彼女と私の子供になにかあったら大変ですから」

 えっ……誠司さん?

 いつになく厳しい口調で言う誠司さんに、焦りを覚える。大丈夫なのだろうか、ふたりに対してそんなことを言って。

 ハラハラしていると、専務は声を荒らげた。

「誠司君、どういうことだね? それは!」

 専務の怒鳴り声に、会場内の和やかな空気が一変。静寂に包まれる。だけど誠司さんは怯むことなく立ち向かった。

「言葉のままです。……私の不在中にさくらを呼び出し、私と別れるよう切り出したそうですね?」

「どうしてそれをっ……!」

 専務は私に鋭い目を向けたが、すぐに誠司さんが私を隠すように立った。
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