極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

「その時は連絡をくれたら、しっかりと村瀬さんの分を取り置きしておきますね。レシートにうちの電話番号が書いてあるので、戻ってきたら早めに電話ください」

　私と彼の関係は、弁当屋の娘とそのお客様。私は村瀬さんのことが大好き。……でも村瀬さんは私に恋愛感情は抱いていない。

　それなのに彼の言葉を真に受けたら、傷つくのは自分だ。

「袋に詰めちゃいますね。ありがとうございます。たくさん買っていただいて」

　さっきからなぜか村瀬さんはなにも言わず、ジッと私を見つめたまま。

　どうしたらいいのかわからなくて、とにかく弁当とお惣菜を袋に詰めていく。そして最後のひとつを手にしようとした時、その手を彼に掴まれた。
　ゴツゴツとした大きな手の感触をじわじわと感じ、困惑してしまう。

　えっ？　どうして村瀬さん、私の手を掴んでいるの？

　せっかく収まった胸の鼓動は、また忙しなく動き出す。

　村瀬さんの真意がわからなくて、どうしたらいいのやら……。ただ見つめ返すことしかできない。

　どれくらいの時間、手を掴まれたまま見つめ合っていただろうか。少しすると彼が口を開いた。