極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

　ふたりの姿を見て、私はなんとも言えない気持ちになった。それはきっと、誠司さんも……。誠司さんの気持ちを思うと、胸が張り裂けそう。

　その後、専務と早乙女社長は力なく私と出席している社員に謝罪し、お義父さんとともに会場を後にした。



「綺麗……」

　会場のホテルの高層部に位置するスイートルームからは、都内の夜景が一望でき、その美しさに目を奪われる。

　新製品発表会後、お義父さんがお詫びにと部屋を取ってくれた。『疲れているだろうから、今夜は誠司とゆっくり過ごしてきなさい』と。そして最後に深々と頭を下げ、『身内の者が申し訳なかった』と謝罪された。

　お義父さんには謝られるようなことなんて、なにひとつされていないのに……。だけどそれは誠司さんも同じ。

　部屋に入るなりお義父さん同様、『悪かった』と謝られてしまったんだ。

　そしてすべて聞いた。専務と早乙女社長のことを。

「お義父さんも誠司さんも、どんな思いで今日まで過ごしてきたんだろう」

　身内を疑い、独自に調べていたんだよね？　どれほどつらかっただろうか。自分に置き換えて考えると本当に胸が張り裂けそうだ。