極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

「本当、さくらはどこまで俺を好きにさせるつもりだ？　……そんなこと言われたら、もういつも通りでいられなくなる」

　声を震わせて彼は続けた。

「ショックだった。彩芽のことも、勝次叔父さんのことも。今まで信頼を寄せていた人物もみんな疑うようになった。……誰を信じていいのかわからなくて、怖かった」

　ギュッと私にしがみつくと、誠司さんは悲痛な思いを吐露していく。

「自分が生きている世界に裏切りは付きものだって、理解していたつもりだった。だけど同じことがこの先も起こりえるのかと思うと、正直、俺には会社のトップに立つ資格があるのか自信がなくなる」

「誠司さん……」

　彼の気持ちは理解したくても、同じ立場に立たない限り理解することができない。でもだからこそ私にできることがある。

「じゃあ今みたいに、いつでも弱音を吐き出してください」

「――え」

　顔を上げて私を見る誠司さんの瞳は、赤く染まっていた。

「そのたびに私はこう言います。自信をなくすのは、誠司さんは責任感が強いからです。そんな誠司さんを支えたいと思っている人が私の他にも、たくさんいますって」