極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

　今日、次々と彼に挨拶に来る人たちを見て感じていた。あぁ、きっとこの人たちは誠司さんを慕っているんだって。

「山浦さんがいますよね？　今日、挨拶に来てくれた大勢の人もいます。……なにより社員誰もが、誠司さんを尊敬していますよ」

　社員食堂は社員の憩いの場。そこでは多くの話を耳にする。弥生さんたちが盛り上がるゴシップネタから、仕事の話まで。

「社員食堂で男性社員からよく耳にします、誠司さんの話を。憧れる、副社長みたいに仕事がデキるようになりたいって。……女性社員からはカッコいい、恋人になりたいって話ばかり聞いていましたけど」

　ボソッと付け足し言った言葉に彼は目を瞬かせた後、表情を緩めた。

「そうか」

「……はい、それはもう妬けちゃうくらいに」

　いつになく素直に妬いていると認めると、誠司さんは嬉しそうに目を細める。

「誰も誠司さんのことを悪く言う人なんていません。皆さん期待していると思います。そんな社員のためにも頑張ってください。……だけど疲れたら、遠慮なく私を頼ってください。私もつらい時は誠司さんを頼りますから。……私はそうやって、誠司さんと夫婦になっていきたい」

「さくら……」

　お互い頼って助け合って、そうやって夫婦としての絆を深めていきたい。だってこの先の長い人生をともに生きるのだから。