極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「ねぇねぇ、結婚式は子供が生まれてからって聞いているけど、新婚旅行にも行かないの?」

「あ、はい。それも出産してから行こうかと……」

 そう言うと弥生さんたちは「いいわねぇ、羨ましい」と言いながら、それぞれの新婚旅行先の話をし始めた。

 結婚式は子供が物心ついた頃に。そして新婚旅行は子供が卒乳してから行こうと話している。――と提案してきたのは、両親たちなんだけど。

 お互いの両親は、今か今かと孫の誕生を待ち望んでいる。子供なら自分たちが見ているから、一週間でも一ヶ月でも新婚旅行に行ってきなさい。なんて言うくらいに。

 誠司さんとなにかと助かりそうだけど、どちらが面倒を見るかで揉めそうだなって話している。

 でもそういう心配ができることは幸せの証拠。恵まれた環境で子育てできることに感謝しないといけないね。

「皆さん、そろそろ仕事に取りかかってください。今日は午後から新しい管理栄養士の方がいらっしゃるんですから」

 手をパンパンと叩きながら言うと、弥生さんたちは「はーい」と言いながら持ち場につく。

 私が働けるのもあと少し。いよいよ今日から後任が来てくれることになっている。
< 298 / 308 >

この作品をシェア

pagetop