極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

　どうしよう、期待してもいいかな？　二ヵ月後、村瀬さんが中国から戻ったら、私たちの関係は変わるかもしれないって。……ううん、こんなに優しい顔を見せられたら嫌でも期待しちゃうよ。

　次第に恥ずかしくなり、キュッと唇を噛みしめると、なぜか村瀬さんは急に気まずそうに目を泳がせた。

「えっと……お会計しようか」

「あ、はい！」

　そうだ、お会計……！

　すぐに残りのひとパックを袋に詰めて、レジに打ち込んでいると感じる視線。恐る恐る目を向けると、厨房から両親が微笑ましい目で私と村瀬さんを見ていた。

　急に村瀬さんの様子がおかしくなったことに納得。ふたりにあんな目で見られていたことに気づいたら、誰だって気まずくなるよ。

　ん？　ちょっと待って。もしかしてお父さんとお母さん、ずっと私と村瀬さんのやり取りを見ていたりする？

　さっきまでの村瀬さんのとのやり取りが、頭を駆け巡っていく。

　ど、どうしよう。死ぬほど恥ずかしいのですが。

　それは村瀬さんも同じようで、居たたまれないといった様子で縮こまっている。

「あ、えっと……三千五百六十円になります」

「じゃあ、これで」

　村瀬さんから五千円札を受け取り、おつりを返してふたつに分けて詰めた袋を渡した。