極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「それにしても彩芽ってばすごいよねー。最高の結婚相手をゲットしたじゃん」

「うらやましいよ、あんな素敵な人が婚約者なんて」

　どうやら早乙女さんが、誰かと婚約したようだ。そういえば早乙女さんって今年で二十六歳になると弥生さんから聞いている。

　結婚適齢期だし、なにより彼女は男性が放っておかないほど綺麗な人だ。おまけに女性が羨ましくなるほどスタイルもいい。

　華やかな世界には無縁の私にはよくわからないけれど、漫画やドラマの中の世界のように、〝婚約者〟という存在が実在するんだ。

　いや、社長令嬢だし、むしろ今まで婚約者という存在がいなかったのが不思議なくらいなのかも。

　そうなると気になるのは早乙女さんの婚約者。いったいどんな人なのだろうか。

　早乙女さんのお父さんが経営する会社もなかなかの大手だし、それなりの人なんだろうな。

　セレブすぎる世界の話に、ため息がこぼれる。

　テーブルを移動しながら聞き耳を立てていると、いよいよ彼女たちは早乙女さんの婚約者について話し出した。

「イケメンでスタイルもいいし、本当に彩芽とお似合い」

「うちの会社の次期社長だしね」

　――え、うちの会社の次期社長って……。

　思わずテーブルを拭く手が止まってしまう。
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