極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「あ、ねぇ聞いた? この前話した噂の経理のふたり! やっぱり不倫しているらしいよ」

「まぁ、そうなの? あんなに真面目そうなのに。人は見かけによらないわねぇ」

 あぁ、さっそく今日もはじまった。昼休みの恒例行事、井戸端会議が。

 社員食堂は憩いの場。自然と社員同士の会話が耳に入る。たとえば弥生さんたちが盛り上がっている色恋話も。

 みんな勤続年数が長いから、社内事情には精通している。聞いていると、どうやってその情報を仕入れたんですか!? と突っ込みたくなるほど。

 盛り上がる不倫話を聞きながら、手を休めることなく料理を口に運んでいると、話題は急にある人物のことになった。

「あ、そういえば私ね。今朝はラッキーなことに王子様に遭遇したのよ」

「嘘、本当に? 羨ましいわ」

「なかなかお目にかかれないものね」

 まるで女子高生のようにキャッキャッ騒いでいるのは、我が社の王子様について。

 王子様、改め我が社の副社長、村瀬(むらせ)誠司(せいじ)さんのことだ。

 身長百八十五センチの長身で、スラッとしたスタイルながら男性らしく肩幅が広くてスーツがとてもよく似合う。
< 5 / 308 >

この作品をシェア

pagetop