極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「おかえり、さくらちゃん。お、なんだ今日は大も一緒か!」

「ついにお前ら、一緒になるのか?」

「お似合いだぞー」

 茶化され、私と大の顔は引きつるばかり。

 同い年の幼なじみで、幼稚園から高校までずっと一緒だった。そんな私たちは、昔からなにかとからかわれてきた。

 どうやら私と大が恋仲になることを、商店街のみんなは望んでいるようだ。お互い、恋愛感情などまったくないというのに。

 大には高校生のときからずっと想いを寄せている相手がいる。それは私の親友でもある時田(ときた)光美(てるみ)だ。

 活発で破天荒な性格の彼女は、小柄でショートカットがとてもよく似合っている。

 なにより笑顔がとっても可愛くて、その笑顔に大はノックダウンしたらしい。

 そんな光美は中学二年生まで海外暮らしの帰国子女。語学堪能で、そのスキルを活かし、大学を卒業後は外資系企業に就職。そして半年前にニューヨーク支社への異動が出て、海外生活中だ。

 一方の大は身長百七十五センチで、毎日重いお酒の瓶を運んでいるためか、昔からがっちりとした身体をしている。

 爽やかな好青年という言葉がぴったりな大は、昔から密かにモテていた。でも奥手な彼は恋愛には積極的になれず、光美に彼氏ができて別れるたびに一喜一憂していた。

 なんでも仲良くなればなるほど、今の関係が壊れるのが怖くて告白することができないとか……。でもその気持ちは痛いほどわかる。
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