極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「何度言えばわかるんだろ、私と大はそういう関係じゃないって」

「な。お互い好きな人がいるっていうのに」

 よく男女の友情は成立しないというけれど、私と大に至ってはそれに当てはまらないと思う。
 よく昔からお互い恋愛相談をするような仲だし、異性として意識したことはないもの。

「そういえば聞いた? 光美、早い夏休みを取って七月に帰ってくるって」

 少し前に彼女から聞いた話を思い出して言うと、大は目を見開いた。

「え、俺聞いてないけど? なんだよ、昨日電話したのにそんなこと、一言も言っていなかったぞ?」

 喜んだと思ったら、ふて腐れる大に思わず笑ってしまう。

「きっと光美、大にサプライズしたかったんじゃない?」

 光美は大の気持ちを知らない。でも光美にはここ三年は彼氏がいないし、なんだかんだ言って私の知らないところで連絡を取り合うくらい、大との関係は深まっているように見える。

 いつかふたりが恋人になったら……と高校生の頃から願ってきたけれど、その願いが叶う日も近いのかもしれない。

 光美と会うのは久しぶりだ。……帰国した際は、村瀬さんに会わせてって言われていたけれど、叶えてあげられなさそう。

 お店はなくなり、村瀬さんが早乙女さんと正式に婚約をしたら、気軽に会うことはもちろん、約束をしたデートなんて行けるわけがない。
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