極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 さくらちゃんとは、ゆっくりと関係を深めていきたい。その思いでお礼と銘打ってデートに誘った。

 そこで彼女のことを知り、同時に俺のことももっと知ってもらって、恋人になれたらと願っていたのに……。

「しかし急に店を閉めたとなると、なにか事情があったのではないでしょうか? 商店街の方に聞かなかったのですか?」

「そこまで頭が回らなかったです」

 そうだよな、常連客の中には商店街の人もいたはず。聞けばどうして急に店を閉めたのか、わかったかもしれないのに。

「でしたら本日、聞いてきたらどうですか? でないと副社長の仕事がどんどん滞りそうなので」

「……はい」

 今日の帰り、商店街に行って近所の人に聞いてみよう。

「あ、なにかあったんですか?」

 今日の午後はとくに大きな予定はなく、だからこうして溜まっていた書類に目を通していた。山浦さんも雑務を片づけると言っていたのに、こうして俺を訪ねてきたということは、なにかあったからだよな?

 顔を上げて聞くと、山浦さんは神妙な面持ちになったものだから緊張がはしる。
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