極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 できることならもう一度会って、さくらちゃんにすべて打ち明け、好きだと伝えたい。そして教えてほしい。俺のことを知っていたのか、そして彼女の気持ちを……。

「でしたらお任せを。……後悔のないよう、しっかりご自分のお気持ちを彼女にお伝えください」

「昼食の手配をしてまいります」と言うと、山浦さんは小さく一礼して出ていった。そのまま部屋の中央にあるソファに力なく腰を下ろす。

「後悔のないように、か……」

 さくらちゃんがどう思っていようと、自分の気持ちだけはしっかり伝えたい。……それからでもいいよな、さくらちゃんの気持ちを聞き、今後のことを考えるのは。



 昼食後、午後は雑務をこなし、迎えた終業時間。落ち着かなくて、手あたり次第デスクの上の書類に目を通していると、ドアが数回ノックされた。

 その瞬間、身体中に緊張がはしる。きっと山浦さんだよな? ……ということは、さくらちゃんも一緒のはず。

 今までにないほど心臓の鼓動を速くさせ、「はい」と返事をすれば、山浦さんの声が返ってきた。

「失礼します」
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