極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

　わかってる、弥生さんたちが本気で言っていないことくらい。普通に考えたら、私が相手にされるわけがない。ただの一社員であり、弁当屋の娘の私が。

　きっと彼は将来、うちの会社と同じくらい大きな企業の社長令嬢と結婚するはず。

　みんなそれをわかっているから、こうして毎日のように盛り上がれるのかもしれない。

　その後も食事が終わるまで、弥生さんたちは副社長を射止めるのはいったい誰なのかと、話が尽きなかった。


　食事後は食堂の片づけや清掃をお願いし、食材の在庫を確認して足りない分は発注をかけ、私はひとり用意されている事務室で仕事に取りかかる。

　月に一度、数種類のメニューを変えている。そろそろ来月のメニューを考えなくてはいけない。

　春はキャベツやじゃがいも、新玉ねぎといった野菜がおいしい季節。たくさんの種類を使いたいところだけれど、予算があるし……。

　頭を悩ませながら、パソコンを使って栄養価の計算をしていく。

「あ、メニュー表も作らないと」

　食堂のドアの前に掲示板を設置し、週ごとにおすすめの料理や食材を書いて、貼り付けている。