極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 だ、大丈夫だろうか。今日の私、かなり不釣り合いじゃない?

 不安になっていると、あっという間に村瀬さんは私の元へ駆け寄ってきた。

「おはよう、さくらちゃん」

「お、おはようございます。あっ、お待たせしてしまい、すみませんでした」

 慌てて頭を下げると、村瀬さんはクスリと笑った。

「なに言ってるの? さくらちゃんは時間通りに来たでしょ? ……それに俺は、楽しみで早く来すぎただけだから」

「えっ?」

 思わず顔を上げると、照れくさそうにハニかむ彼と目が合う。

「今日は俺とデートしてくれてありがとう。……一日、よろしくね」

「……こちらこそ」

 どうしよう、まだ一日は始まったばかりなのに、すでにもう泣きそう。

 村瀬さんとデートできるのは、すごく嬉しい。……嬉しいからこそ悲しくなる。こうしてふたりで会えるのは、今日が最初で最後になるのだろうから。

 でも、ずっと夢みていたの。大好きな村瀬さんとデートすることを。だから今日は、めいっぱい楽しむんだ。

「さくらちゃんの行きたいところってどこ?」

「えっと、水族館なのですが……どうでしょうか?」

 聞かれたことに答えたものの、幼稚すぎたかな?と心配になる。村瀬さんと大好きなペンギンを見られたら……と思っていたけれど、村瀬さんはどうかな? 水族館には興味がなかったりする?

 ハラハラしながら彼の答えを待つ。
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