極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

「水族館か……何年ぶりだろう。なかなか行く機会なんてないから、嬉しいよ」

「え、本当ですか？」

「あぁ。じゃあさっそく行こうか。時間がもったいない」

　そう言うと村瀬さんは自然に私の手を握った。

「えっ！　む、村瀬さん!?」

　突然手を握られ、パニックになる。そんな私とは反対に、村瀬さんは至って通常運転。

「今日はデートだろ？　だったら手を繋ぐのは必須だよ」

　そのまま手を引かれて車の前まで来ると、スマートに助手席のドアを開けてくれて、胸がときめく。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

　緊張しながら乗り込むと、それを確認して村瀬さんはドアまで閉めてくれた。そして自分も運転席に乗ってシートベルトを閉めると、車を発進させた。

「ここから一番近い水族館でもいいかな？」

「はい、もちろんです」

　なんて答えながら、心臓は止まるのではないかってほど速く脈打っている。

　だって思っていた以上に運転席と助手席の距離が近いから。少しでも右に身体を寄せたら、肩と肩が触れてしまいそう。そう思うと微動だにできなくなる。